花粉症と鍼灸

花粉症と鍼灸

アレルギー性鼻炎は、発作性反復性のくしゃみ・水様性鼻水・鼻づまりを主徴とします。その他の症状として、目のかゆみ・異物感・流涙があります。
一般的に花粉による季節性アレルギーとハウスダストやダニなどによる通年性アレルギーがあります。

Ⅰ型アレルギーは、特定の抗原(スギ花粉など)が肥満細胞(マスト細胞)のIgE抗体と結合することでヒスタミンやロイコトリエンなどの物質が遊離します。このヒスタミンが神経終末を刺激することでくしゃみを生じさせます。ヒスタミンは毛細血管に作用して血管透過性を高め、血漿成分が血管からにじみ出て局所の浮腫を起こし、鼻づまりを生じさせます。さらに副交感神経を介して分泌腺を刺激し、鼻汁の分泌を増加させます。

<アレルギー性鼻炎に対する鍼灸治療のメカニズム>
①免疫の調節 
動物では鍼刺激によりサイトカインを調節し、ヘルパーT細胞のTh1・TH2のバランスを取りアレルギーを抑制することが報告されています。
②鼻粘膜非特異的過敏性の抑制
鼻粘膜の過敏性は自律神経の影響を受けています。鍼刺激は自律神経に作用すると考えられています。鍼治療は、自律神経を介して鼻粘膜過敏性を抑制し、鼻症状も抑制されるのです。

<現代医学的な鍼灸治療>
鼻周囲の経穴に治療をおこないます。同時に手の合谷というツボにも治療を行います。

<東洋医学的鍼灸治療>
・肺気虚 肺の気を損なうと風邪をひきやすい状況となり鼻症状が出やすくなります。風邪をもたらす寒邪を取り除いたり、肺の気をめぐらす機能を高める治療をしていきます。
・脾気虚 気血を巡らす脾の機能が衰えれば、肺気まで損なうと考えます。肺の気を補うとともに脾を健やかにする治療を行います。
・腎陽虚 肺の気をつかさどる腎の気。この腎の気を損なうと長期間にわたるアレルギー性鼻炎を引き起こすと考えられています。これには、腎の気を補い温めて寒邪を取り除く治療を行います。
参考文献:鍼灸療法技術ガイド  矢野忠 文光堂

クリニックや病院での治療のひとつに舌下免疫療法があります
舌下免疫療法は、アレルゲン免疫療法(減感作療法)の一種で、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく治療法です。現在、スギ花粉症とダニのアレルギー症状を根本的に治すことができる唯一の治療法です。ただし、治療期間が3~5年の根気のいる治療です。


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