生理がはじまる3~10日ぐらい前から起こる不快な症状で、身体的なものから精神的症状まで実にさまざまな症状が現れます。生理がはじまるとうそのように症状が消えてしまうのもPMSの特徴のひとつです。
症状のひきがねとなっているのは、排卵後に増加してくるプロゲステロンです。これは本来、妊娠を助けるホルモンなので、子宮内膜を柔らかくしたり体内に水分や栄養を溜め込んだり、妊婦さんが安静に過ごせるように眠気をきたすような生理的作用を担っています。そのため、生理前の時期はからだがむくみやすくなったり、便秘がちになったり、また体温も上昇したりと、体調が低下しやすいのです。
<PMSの症状>
・からだの症状
胸が張る、眠くなる、にきび・吹き出物・肌荒れが起こる、だるい、食欲が増す、便秘、肩こり、頭痛、にきび・吹き出物・肌荒れなど
・心の症状
イライラする、感情の起伏が激しくなる、気分が落ち込む、集中力低下、無気力感など
PMSは20~30代女性に多く見られ、生理周期も卵巣機能も正常な人に起こります。生活に差し支えるほどつらいときは、緩和のために治療がいろいろあります。ピル・漢方薬・代替医療(鍼灸・アロマ)・サプリ・運動など自分に合うもので症状を改善し、元気な毎日を過ごしましょう。
🌷当院のPMS鍼灸治療
PMSには、冷え・ストレス・生活習慣・自律神経の乱れが関与していると言われています。お一人お一人の症状に合わせてツボを選択し、東洋医学的な気・血・水の流れをスムーズにすることで、ホルモンバランスや自律神経に働きかけ、身体本来の機能を取り戻していきます。
<PMSの関する鍼灸のエビデンス>
月経前の「イライラ」を含むすべての精神症状に関する心理的ストレス反応尺度(SRS-18)を使用して症状の改善についての研究では、鍼灸治療にてPMS の「イライラ」を含むすべての精神症状が改善すること、それに加えて、治療を継続することで 1 クールの施術で獲得された改善率が維持できる可能性も示唆されています。
<磯部哲也. 月経前症候群の精神症状に対する鍼治療効果の比較試験. 日本東洋医学雑
誌 2016; 67(3): 264-273. 医中誌 Web ID: 2017003688>
参考資料:月経前症候群診断基準(米国産婦人科学会)
過去3回の連続した月経周期のそれぞれにおける月経前5日間に、下記の情緒的および身体的症状のうち少なくとも1つが存在すれば月経前症候群と診断できる | |
情緒的症状 | 身体的症状 |
・抑うつ ・怒りの爆発 ・易刺激性、いらだち ・不安 ・社会的引きこもり | ・乳房緊満感、腫脹 ・腹部膨満感 ・頭痛 ・関節痛、筋肉痛 ・体重増加 ・四肢の腫脹、浮腫 |
(出典:産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2017)